信号待ちでエンストする原因と対策
アイドリングの乱れが引き起こす不安定な状態
信号待ちなどの停車時にエンストが起こる原因のひとつに、アイドリングの不安定があります。アイドリングとは、バイクが停止している間に最低限の回転数でエンジンを保つ状態のこと。この回転数が極端に低くなると、エンジンが停止してしまうことがあります。
とくにインジェクション車では、スロットルボディの汚れがアイドリング不調の原因になりやすく、定期的な清掃が必要です。また、電子制御スロットル車ではセンサーのズレや学習値の乱れがエンストを招くこともあるため、専用機器でリセットを行う必要が出てきます。
気温や湿度など環境の変化によっても症状が出やすくなることがあるため、最近なんとなく回転が不安定だと感じたら、早めに点検しておきましょう。こうしたアイドリングの揺らぎを放置すると、エンジンの始動性や燃費にも影響が出てしまう可能性があります。
燃料と空気の供給に異常がないかチェック
アイドリングに問題がない場合でも、燃料系や吸気系の異常がエンストの引き金になることがあります。燃料供給の面では、ガソリンが劣化している、キャブレターやインジェクターが詰まりかけているなどがよくある原因です。特に長期間乗っていないバイクでは、タンク内に古いガソリンが残っていて混合比が崩れ、エンジンが止まることも。
一方、吸気系ではエアクリーナーの目詰まりが問題になることが多く、必要な空気が取り込めないと燃焼が不完全になり、エンストにつながります。目安としては、1年に1回もしくは走行5,000kmごとの清掃・交換がおすすめです。
さらに、社外製フィルターを装着している場合は、吸気バランスが崩れているケースもあるため注意が必要です。簡単に点検できる部品なので、自分でメンテナンスする人にも取り組みやすいポイントといえるでしょう。
点火やクラッチまわりも念のため確認を
原因が見えづらい場合には、電装系や駆動系も疑ってみるとよいでしょう。まずはスパークプラグの状態を確認します。プラグの焼け具合が極端だったり、カーボンが付着していたりすると、正しく点火できずにエンジンが不安定になります。交換時期を過ぎたプラグは性能が落ちるため、定期的なチェックが欠かせません。
また、意外と見落とされがちなのがクラッチの不具合です。クラッチの切れが甘くなると、信号待ちでギアが噛んだままの状態になり、エンストを引き起こすことがあります。特にマニュアル車ではクラッチワイヤーの伸びやレバーの遊び具合など、細かい調整がエンジンの状態に大きく影響します。
どれかひとつの要因ではなく、いくつかの小さな不具合が重なってエンストにつながっているケースもあるため、ひとつずつ丁寧に確認していくことが大切です。日常的なメンテナンスが不安な場合は、無理をせずショップに相談するのが得策でしょう。定期的な点検を習慣にしておけば、いざというときの不安も減ります。

